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院長コラム

『 鉄と貧血のお話し 』

こちらは 2022.R4.8月 グラフ旭川 2022年8月号 の医療情報欄に記載された コラムです。
お時間のあるときにどうぞご覧ください。

 『 鉄と貧血のお話し 』

日常診療の中でよく見る疾患の一つに貧血があります。
みなさんが、ぞくに言う“ひんけつ”は、立ちくらみやめまいなどの症状についてお話していることが多いかと思いますが、医療での“貧血”は、純粋に赤血球が少ないことを意味します。
赤血球は、肺で酸素を受け取って、全身の臓器にそれを届け、いらない二酸化炭素を回収する役割を担っています。そこで、貧血になると全身の臓器や細胞が酸欠状態になります。脳が酸欠になれば、フラフラとめまいや立ちくらみを起こすこともあるでしょうし、倦怠感や息切れを感じる可能性もあります。結局は、みなさんの使っている“ひんけつ”と起こる現象は変わりませんので、あまり深く考えなくて大丈夫です。

さて、“貧血”になる原因には様々なものがありますが、一番多いのが、鉄欠乏性貧血です。鉄は先ほど説明した赤血球の材料であり、赤血球が酸素を取り込むのに重要な部位を構成しています。鉄分不足=材料不足におちいるため、しっかりとした大きさの赤血球を作ることができなくなり、一個一個の赤血球が小さくなってしまいます。これを小球性貧血といいます。
貧血の原因には、他にも葉酸欠乏や、ビタミンB12欠乏などがあります。これらのビタミンは赤血球を作るときの設計図になります。設計図がいまいちだと、ぶかっこうでぼてっとした赤血球になってしまうため、一個一個の赤血球が大きなものになります。これを大球性貧血といいます。採血検査をしたとき、貧血を見つけたみなさんの主治医は、まず赤血球の大きさから、貧血のおおよその原因を推察し、次の検査や治療に結び付けているのです。

ここからは、鉄のお話です。
人間に体内にはおよそ3~4gの鉄が含まれていると言われています。たった1円玉4枚分ですが、人体は鉄以外にも、銅や亜鉛、カルシウム、リンなど色々な金属を含んでおり(微量元素といいます)、これらがないと、さまざまな代謝活動が働かなくなって、身体に障害が出てきます。鉄欠乏状態になると、肌や爪の異常・集中力の低下・イライラ・頭痛・肩こり・食欲不振など様々な症状が出ることがあります。また、鉄分不足の人の特徴として、冷凍庫の氷をすべてかじりつくしてしまうくらい氷好きとなることがあります。これを氷食症といい、女性の方に多い傾向です。ずっと氷を食べていると、冷えにより内蔵機能が衰え、食事摂取量も低下するため益々鉄欠乏が悪化してしまいます。先日、高度の鉄欠乏状態で、氷をガリガリ食べていた方に、注射の鉄剤での治療を開始したところ、翌日からびたっと一切氷を食べなくなりました。

鉄不足に至る原因としては、このような摂取不足の場合と、女性ですと生理からの出血や、胃潰瘍や大腸がんなど消化管からの慢性的な出血によって、鉄分を失っている場合があります。実は鉄は、ほぼすべてを利用しては再吸収することを繰り返し、体内で延々とリサイクルされ続けているため、異常な出血や極端な摂取不足がないと減らないことになっています。ですから、良かれと思って漫然と注射の鉄剤を使用し続けたりすると、逆に鉄過剰症という状態になることがあります。鉄は足りなくても困りますが、多すぎると肝臓に毒となるため問題になります。また、鉄はとってもおいしい栄養分なので、細菌やがん細胞も大好物です。そこで、肺炎など感染症がコントロ-ルついていないときには使用を控えることがあります(がんの治療中は、貧血が強いと病気に打ち勝つ体力もつかないため、主治医の先生が必要性を考えて判断してくれます)。飲み薬の鉄剤の場合は、人間の体は賢くできており、必要以上の鉄分は吸収しないで便に捨ててくれますので心配ありません。しかし、妊娠期にのんだ経験のある女性の方も多いと思いますが、内服の鉄はおいしくないので、むかむかして食欲がなくなり飲めないことも多いです。その場合は、注射剤が必要となるのです。
以前は、注射の鉄剤は1か月くらい毎日通院して打たないと十分な補充とならないものしかありませんでした。しかし最近は、ゆっくり吸収するように工夫された、高容量の鉄分が入っている注射剤もあります。こちらだと3回程度の受診で治療が完了するため、とても便利になりました。(今まで述べたように、注射の鉄剤はすべての方に適応ではありませんから主治医の先生にご相談ください)
様々な体調不良の原因が鉄欠乏であることは意外と多いことですので、思い当たる方は一度内科を受診し血液検査をしてもらってください。

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