こちらは、平成25年版 旭川の病院案内雑誌 “ホームドクター”の医療ガイド欄に掲載された、腎臓病について記載したコラムとなっています。
わかりやすくかみ砕いて説明していますので、ぜひご一読ください。
~慢性腎臓病について~
CKD(chronic kidney disease)とはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、慢性的な腎臓の病気すべてを含んだ言葉です。日本語にすると慢性腎臓病と言いますが、実は成人の8人に1人はなんらかの腎障害があり、CKDは新たな国民病とも言われています。
腎臓は血液をろ過するフィルターの役割をし、食べ飲みしたものから必要な栄養素は回収し、不必要なゴミや水分は尿として排泄する重要な臓器です。他にも、血液を作る指令を出すエリスロポエチンというホルモンを産生したり、骨を丈夫にするカルシウムの吸収に必要なビタミンDを活性化したり、血液の水分や塩分のバランスを調節して血圧の管理もしています。そのために、腎臓の元気がなくなると貧血や骨粗鬆症が進行し、高血圧のコントロールも難しくなるのです。
腎臓は歳をとると自然にその働きも落ちますが、塩分の取りすぎによる高血圧や糖尿病、高コレステロールなどいわゆる生活習慣病が続くと、腎臓のフィルターに圧力がかかって壊れたり、老廃物でフィルターの目詰まりが強くなって、腎機能の低下が早まるのです。
初期のころのCKDは自覚症状がなく、尿検査の異常(タンパク尿や血尿)をきっかけに発見されることがほとんどです。なぜタンパク尿や血尿になるかと言うと、腎臓が壊れると、必要な栄養素であるタンパク質が漏れたり、フィルターに目詰まりした赤血球がおしっことともに流れ出てくるからです。
CKDと診断された場合にはその進行を抑え、機能を長持ちさせる治療を行います。血圧の管理は非常に重要ですが、最近の一部の血圧の薬には、尿たんぱくを減らし腎臓を保護する作用の強いものもあります。また、日本人は一日に平均12gも食塩を取っていますが、腎臓の仕事を減らすために摂取量を減らすことも重要であり、6g以下を目標とします。コレステロールや痛風などの病気も動脈硬化から腎臓の血管を傷害するため治療が必要です。さらにたんぱく質からでるゴミ(尿素窒素)も負担となるため、たんぱく制限も大切です。また、腎臓に流れる血液が減ると腎臓の元気がなくなるため、貧血の改善も重要です。現在ではエリスロポエチンの注射剤が開発されており、貧血の改善も可能となりました。また、毒素(リンやカリウム、尿素窒素など)を便に出して減らす薬もあります。腎臓の炎症が原因の場合は、ステロイドや免疫抑制剤が必要になり、専門医による治療が必要です。
健診などで定期的なチェックがされていない場合、進行したCKDとして発見されることもあります。老廃物をおしっこに溶かせなくなると体に毒素がたまった状態(尿毒症)になり、吐き気や食欲不振、頭痛、だるさなど様々な症状が現れます。また尿の出が悪くなると、急激にむくんで短期間に5kg以上も体重が増えることもあり、心不全で緊急に透析治療が必要となることもあります。
CKDが進行すると末期腎不全と言われ、腎機能も元の1/10以下となって、透析や腎移植が必要になります。透析とは、溜まった毒素や水分を腎臓の代わりにとる治療ですが、近年透析患者さんの半分以上は糖尿病が原因と言われ問題となっています。しかし、現在では薬や透析治療自体も発展し20年から30年以上元気に過ごされる患者さんの割合も増えています。
CKDの悪化は、心筋梗塞や心不全にもつながるため、日頃の健康管理はもちろん、定期的な健康診断など、気になることがあればまず一度専門医に相談することが大切です。
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