旭川市の豊岡の医院なら及川医院

初診予約
外来問診票
アクセス
院長コラム

女性に優しい漢方のお話

女性に優しい漢方のお話

女性は思春期以降、2週間ごとに体のバランスが劇的に変化する月経周期に悩まされたり、その後の閉経期には更年期症状に悩まされたりします。女性の身体は常にジェットコースターのような女性ホルモンのバランスと戦っているのです。(もちろん男性にも男性更年期という言葉があり、男性ホルモンの低下に悩まされている方もいます)

こんな時、産婦人科では西洋薬を使い、ひどい生理痛や月経異常などに対して低用量ピルを飲んだり、更年期には女性ホルモンを補充して安定化させる治療をまず行うのだと思います。しかし、我々一般内科医は、女性の患者さん方から、『今こんなことに悩んでいるの』とご相談を受けても、なかなか立ち入ることができず、ふがいない思いをするところです。

ここで漢方薬の出番です。
漢方は、疾患を治すためだけではなく、崩れたバランスを整え直すことができるので、つらい症状に悩んでいる方の相談に乗り、その症状を和らげられる可能性があります。
ちょっと検索すると、“婦人科三大漢方処方”という言葉が出てきたり、民間薬局でも“つらい症状にはこれっ”と言う薬が市販されています。市販薬の成分表を見ると、構成成分のほとんどが生薬(漢方の原料)であったり、普段外来で処方している漢方薬と同じ生薬がブレンドされていたり、2種類の漢方を混ぜたものなどがあります。それだけ、皆さんは実は知らない間にいろいろな漢方薬にふれあっているのです。

女性に多い悩みとして、月経痛・冷え性・ホットフラッシュ・めまい・動悸・嘔気・頭痛・倦怠感・便秘・むくみ・不眠・気分の浮き沈みなどいろいろなものがあります。漢方の世界では、女性特有のトラブルを『血の道』の不具合ととらえ、その中でも血が滞る『瘀血(おけつ)』にその原因があると考えられています。
瘀という字は、「停滞」という意味であり、血の流れが悪くよどんだ状態、古い血が流れずにたまっている状態などとイメージしてみてください。サプリメントや食品によっては、『血液さらさら』効果をうたっているものがありますが、まさに『ドロドロ血』のイメージなのだと思います。私は外来で、なんとなく古い血がたまっていて、毒っ気が抜けないから鉄球を引きずって歩いているような感じと説明したりしますが、こんな状態ですから、身体はだるいし、むくんだり、便秘したり、眠れなかったりするし、そのせいで「私どうなってしまうのだろう?」と考え出すと、ますます不安になって、ドキドキしたり、気持ち悪くなったり、息苦しく感じたりしてもおかしくないですよね。
冷えとホットフラッシュも反対のようで、人によっては同じ状態を現していることがあります。身体が急激にほてって暑くなったりするのは頭や上半身だけで、そのとき逆に手足は冷えていたりします。これは身体の中の熱が、うまく流れない・巡らないためにバランスが崩れている状態なのです。やはり瘀血=血が停滞していることによる症状なのです。

ここで、実際の漢方のご紹介です。先ほどの婦人科三大漢方とは、㉓当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、㉔加味逍遙散(かみしょうようさん)、㉕桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の三種類のことです。日本の漢方はツムラ・クラシエ・コタローなど、どこのメーカーのものであっても番号が統一されていますので、名前が覚えられない方は番号だけを覚えてください。女性にやさしい漢方は実は、㉓㉔㉕と連番になっています。
連番ですが、それぞれに特徴は違います。

㉓当帰芍薬散は、血の巡りが悪いどころか、巡る血も足りないような青白い顔をしたような方に相性がよいと言われています。夏場にクーラーの下に少しいるだけですぐに具合の悪くなってしまう人でしょうか。このような方は、月経不順にもなりやすいですし、いざ月経が来ると、貧血やめまいに悩まされます。身体を温める当帰や、芍薬の鎮痛効果、水のバランスをとる生薬も入っているため、むくみ予防効果があり、弱った身体をいたわりながらやさしく効いてくれます。妊活中で疲れている方にもお勧めですよ。

㉔加味逍遙散は、女性ホルモンのジェットコースターについて行けず、精神的に参ってしまっている方におすすめです。人によっては、生理前後にうつ的に落ち込んでしまう方もいますし、イライラと攻撃的になってしまい周囲の人に強く当たってしまうこともあるかと思います。外来で例を挙げると、結構皆さん素直に「そうなんですよぉ」と言っていただけます。沈む方と攻撃的になる方では反対のように感じますが、漢方は過不足なく中庸に整えてくれる薬が多くありますので、決して矛盾はしません。

㉕桂枝茯苓丸は、まさに滞った静脈の血の流れをよくして、身体にたまった毒を抜くような薬です。毒っ気によって“かっか・ぽっぽ”したパンパンのSLの機関車のような状態から、“ポッポ-”と煙を吐き出して、一段抜けた状態になるようなイメージでしょうか?(わかりやすく説明できたのかやや不安です)固まった古い血を巡らせるという意味では、痔持ちの方や、子宮内膜症、月経過多、下肢静脈瘤、肩こりの方にもよかったりします。

もちろん、どの漢方も身体を温めるタイプの生薬を中心として構成されていますので、女性の冷えには効果があります。もう一つ便利なものとして、こむら返りで有名な芍薬甘草湯は、生理痛にも大変よく効き、処方するとっても喜ばれます。
他にも女性にやさしい漢方はいくつもありますが、自分に相性のよい漢方を試してみたい場合は、ぜひ漢方をうたっている病院や産婦人科を受診し、自分の困っている症状を相談してみてください。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

  1. 『夏バテにお勧めに漢方』
  2. 『鼠径ヘルニアについて』
  3. 女性に優しい漢方のお話
PAGE TOP