こちらは、グラフ旭川 平成28年7月号の 医療コラム欄に掲載された記事です。
腎臓の機能について記載していますので、どうぞご覧ください。
~腎臓とおしっこのお話~
腎臓は、おへそよりも少し上の背中側に左右1つずつあり、握りこぶしくらいの大きさをしています。そこでは、毎日休まず血液をろ過して体内の老廃物と余計な水分からおしっこを作っています。
腎臓を顕微鏡で見ると、その中には、毛細血管が丸い糸玉のようになっている小さな部屋が100万個ずつ、左右合わせて200万個もあります。実はこの糸玉(糸球体と言います)の中で、毛細血管からしみ出してきた血液中の物質を、いるもの・いらないものと仕分けをして、いらないものだけをおしっこに溶かして捨てているのです。驚くべきことに、おしっこは毎日150ℓ以上も作られており、必要な物質の再吸収を繰り返して、100倍に濃縮し、1日当たり1~2ℓだけを排泄しているのです。
このように、腎臓はフィルターの役割をしていますが、何十年も休まずに同じフィルターを使い続けているわけですから、目詰まりしたり壊れたりしてだんだんと減っていくことは自然なことです。しかし、糖尿病や高血圧、腎臓の病気などがあると、糸球体に傷がつきやすくなり、通常よりも早くつぶれてしまうため、フィルターの機能が落ちてしまいます。これが、慢性腎不全と言う状態です。実は、日本人の8人に1人は、何らかの原因で慢性腎不全に罹患していると言われており、非常に身近な病態なのです。
機能が落ちるとは言っても、腎臓はがんばり屋さんで、簡単には音を上げずおしっこを作り続けてくれます。しかし、さすがに残りのフィルターが10分の一くらいになってしまうと、いろいろな老廃物や余った水分を捨てきれなくなるため、様々な症状が出てきます。
具体的には、体にゴミがたまって抜けない状態ですから疲れやすかったり、全身がかゆくなったり、貧血になったり、水が溜まってむくみやすくなったり、そのせいで血圧が下がらなくなったりと様々です。いよいよおしっこが全く出ない状態になってしまうと、カリウムと言う物質が血中にたまってしまい、心臓がびっくりして急に止まってしまうこともさえもありえます。
さて、そのようなことにならないために腎臓の機能低下を最初に発見できる簡便な検査は、実は検診などで行われている尿検査です。尿検査では通常、潜血やたんぱく、尿糖などを測っています。その中でも、尿潜血や尿たんぱくで毎年ひっかかるような方は、腎臓のフィルターが壊れかけていて、通常は漏れないはずの赤血球や、タンパク質が抜け落ちているというサインの可能性があります。先ほど、腎臓はがんばり屋さんとお話ししましたが、血液検査で腎臓の不調に気が付くころにはだいぶ腎臓が疲れてきている可能性があるため、早期発見のためには尿検査が非常に有用です。
また腎臓は、おしっこを作るだけではなく、他にもいろいろな役割をしています。赤血球を造るための指令を出すホルモン(エリスロポエチン)を産生していたり、骨を丈夫にするビタミンDを活性化したり、血圧を管理するホルモンを産生していたりと様々な役割があります。腎機能の低下と共にこれらの働きも低下するため、貧血や骨粗鬆症、高血圧なども悪化する可能性があります。そのため腎機能の低下は、脳卒中・心筋梗塞・認知症・骨折など健康で元気な生活を送るうえで大きな問題となる病気の発症リスクを高めると言われており、しっかりとしたケアが重要です。
腎臓を傷めない、疲れさせない一番の予防は、高血圧と一緒で無駄な塩分をとらないことと、糖尿病をしっかりと管理していくことです。高血圧や糖尿が悪化すると腎臓を傷つけ、傷ついた腎臓が更に生活習慣病を悪化させるという、負のスパイラルに落ち込まないためには、日々のちょっとした食生活、運動などが重要なのです。
また、これから暑い季節となりますが、汗をかいたりした後、水分補給をしないで脱水状態になることも、腎臓が疲れてしまう原因になりますので、お気を付けください。
コメント